はじめに
2022年にネイエ設計さんでシンプルでナチュラルな和モダンの家を建てました、じょりぱです。
インターネットが発達した現在において、家を計画する際、施主もブログやYoutubeなどで数多くの情報を得ることができます。
特に断熱性やコスト、太陽光発電などに言及している記事は多く見受けられるのですが、こと”デザイン”に関してはまだまだ情報が少ないのではないでしょうか。
アメリカでの生活を経験した私じょりぱは、海外にいたからこそ見える日本独自の美に魅了され、帰国後和モダンな家を建てるまで至りました。
その過程で行ったデザインについて多くの考察を、これから家を建てられる皆様と共有できたらと思いこのシリーズを立ち上げました。
シリーズ名は美しい空間の作り方シリーズ。今回は色についてです。
壁紙や家具の色ってどのように検討しますか?
なんとなく、、、でも勿論良いのですが、色には様々な効果があるので、しっかりと論理だてて色をコントロールすれば自信をもって良い空間をつくることができますよ。
この記事では様々な色の効果をどのように使って私が家を建てたのか、実例を挙げながら紹介していきたいと思います。
ちなみに私は趣味でカラーコーディネーター、色彩検定ともに2級の資格を取るほど色が好きな人間です。今回の記事にはいつも以上に気合が入っています。是非お楽しみください。
色彩心理
まずはわかりやすい色彩心理から。
色彩心理とは色が心に及ぼす影響のことで、学問にまでなっている分野です。
赤は気分を高揚させる、オレンジは明るい気持ちにさせる、、、みたいなやつです。
それぞれの色にどんな効果があるかは調べればすぐに出てくるのですが、ここでは一例として、ダイニングの例を挙げたいと思います。
我が家ではダイニングはLDKの中心にあり、正に家のコアとも呼べる場所。ごはんを食べてそのあと家族で談笑するなど、明るく元気なイメージを入れたいと考えました。
それらを踏まえて選んだ色は「赤」。
赤は情熱、興奮の色で、気分を高揚させる作用があります。
それではその赤を具体的にどう取り入れたのでしょうか。大きく3つです。
①赤い座面のダイニングチェア
②ブラックチェリーのダイニングテーブル
③赤みのある簾戸
まず①はそのままです。ダイニングチェアの座面に赤を入れました。
ただこの記事で本当にお伝えしたいのは②や③です。
つまり、THE 赤を入れるのではなく、赤味を感じられるものでも効果があるということです。
例えばこの例では、ダイニングテーブルやダイニングチェア素材に、ブラックチェリーのどっしりとした赤を使いました。
木材には色味があるため、樹種で空間の味付けをすることができます。
赤みであれば、チェリー系やヒノキなどがおススメです。
特にこのダイニングテーブルのように広い面で色を見ると効果倍増です。
さらに③として簾戸をとった赤みのある光が効果を更に倍増させています。
柔らかく赤が全体を包み込むようなダイニング空間ができました。
進出色と後退色
さて次は進出色と後退色です。
読んで字のごとく、進出色は前にせり出してくるように見える色、反対に後退色とは実際より遠くに見えるような色のことです。
進出色の代表は赤、オレンジ、黄色など、後退色の代表は青や青紫のような色です。
さて、今度はキッチンの例をご覧ください。
キッチンの奥の壁には青のタイルを天井までズドンと使っています。
これは後退色の効果を狙った使い方です。
奥に見える壁に後退色を使うことで、その壁がさらに奥にあるように見え、空間を広げることができるのです。
例えば玄関や廊下の突き当りなど、奥行を見せたい空間にはかなり効果的な使い方です。
これも先と同様、THE 青である必要はありません。
コツは青系のニュアンスが入り、かつトーンが低いこと、即ち、グレー寄り、暗め寄りの色を選ぶということです。
ちょっと青みがかったグレーなどで十二分の効果がありますよ。
暖色と寒色
最後は暖色と寒色です。
これも読んで字のごとく、暖かく感じる色と寒く感じる色のことです。
暖色の代表は赤系、寒色の代表は青系です。進出色後退色とほとんど同じような関係です。
もう一つ、中性色というのもあり、これは温度をもたない色のことです。緑、紫、無彩色(=白、黒、グレー)などが挙げられます。
こちらの例をご覧ください。
我が家の場合、お風呂は北側にあり家全体の中では寒くなりやすい空間になることが予想されました。
そこで、床に茶色、壁4面に赤みのあるビスクトラバーチンを採用することにより、暖色でまとめたコーディネートを行いました。
(更に下から上に行くにつれて、明度を上げていくことで空間を広く見せるテクニックも同時に使っています。)
今度はお風呂に繋がる洗面所のタイルです。
タイルというと冷たいイメージがありますが、脱衣時の寒さを軽減するため、暖色である茶色が混じったようなタイルを選びました。
これにより寒い北側の水回りエリアは暖色の効果をふんだんに利用して暖かみのある空間を作ることができました。
ある意味究極のコストカットと言えるのかもしれませんね。
おわりに
最後に、少々上級者レベルのものとして、我が家の壁の色の紹介です。
我が家の壁に選んだ色はこのように少し緑がかって見えます。
緑は中性色、温度を持ちません。
ですので、ダイニングでは暖色の効果で温かく、キッチン周りは後退色の効果で広く、、、と他のもので空間の温度をコントロールしやすいのです。
また、緑には色彩心理として、安らぎ、癒しなどリラックス作用が知られています。
ですので全体としてはリラックスしながら、他の色で温度や距離の味付けをしていく、、、みたいなことができる色という風に考えこの壁を採用しました。
さて、今回の記事いかがだったでしょうか。
なんとなく知っている内容であっても、実際に家につかうのは難しかったりしますよね。
実例をお見せすることで具体的にイメージしていただけたのではないかと思います。
空間の色を決める際、これらのことを踏まえて少しでも理論的に配色できれば、より家づくりを楽しめるとともに自分の決定に自信を持つことができるはず。
この記事がみなさんの良い家づくりにお役にたてれば幸いです。
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