はじめに
こんにちは。じょりぱです。
今回は、普段(他業種ではあるが、)設計関係の仕事をしている私が、改めて設計とはどういう仕事かということについて述べようと思います。
施主の立場からはなかなか見えてこない設計者の姿を理解することで、彼らがどういう気持ちで仕事をしているか、また、施主としてどういうコミュニケーションをとればアウトプットを最大化できるか、というところまで考察できたらと思います。
設計の仕事
まず、設計という仕事はどんな仕事か、というと…
施主との打ち合わせの中から表面には出てこない心の声を聞きだし、
その土地土地の法律を守り、
用途に合った建具や建材を選び、
それらのサイズや施工方法などの設計ハードを学び、
それらを頭に入れた状態で図面をひき、
施主にプレゼンし、
定期的にひっくり返され、
まとまってきたら資料を作成し、
工務店や各専門施工業者に指示をだし、
施工状況を確認しながら随時ミスを修正していく。
といった具合です。(これでも足りないかもしれませんが、、、)
…なかなか大変です。
世の中に楽な仕事なんてなかなかありませんがそれでもやはり大変です。
相当な知識量と、変化に柔軟なメンタリティーが求められます。
我々が普段施主の立場として見る設計者の姿はその中のほんの一つの姿でしかないことがわかりますよね。
設計とはやさしさ
そんな設計業務の中でもやはり花形となるのが図面をひく仕事。
図面をひくと言っても単純な作業ではありません。
もう少し具体的にいうと、「施主と作り手側の要件に挟まれながら両立解を探り、図面に落とし込む仕事」と言えるでしょう。
解がないところにどれだけ解を見出せるかが腕の見せ所です。
そんな環境の中で、施主の表に出てこない心の声を聞いて、受け入れられるかわからないものを提案すること、更には見た目の良さ(=styling design)にまで思いを馳せることが、どれだけ難しいことがわかります。
正直設計がしっかり入るのは多くの場合契約後ですので、契約後は施主の言うことなんて半分くらいそれっぽく聞きながら、淡々と要件に合わせて作りやすい家を作ったほうが色々楽なのです。
ですので良い設計をするには、設計者が自分で自分と闘いながら、どれだけ施主側に歩み寄って頭を捻るかにかかっているといっても過言ではありません。
そして、そんなことができる設計者は「やさしい」のです。
今度は違う視点で見てみましょう。
お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、設計の業務は殆どモノができる前に終わります。
ですので「想像」するしかないのです。
そこに難しさ、かつ楽しさがあります。
モノができてから「こんなこともわからんかったのか!」と文句を言うのは非常に簡単なのですが、事前にそれを全て予測し対策しておかなければいけません。
(勿論会社の知見や経験でまかなえる部分も沢山ありますが、)それができる設計者というのは総じて想像力が豊かな人といえます。
そして想像力が豊かな人というのは人の気持ちがわかる「やさしい人」以外の何者でもないのです。
我が家の例を出すと、
歩きやすいように廊下の角が面取りされていたり、
排気管が通って天井高が低くなるところを利用してwalk throughのパントリーにしてくれたり、
と、私が要望をしていないFine playがいくつもあります。
そんなFine playの部分を見るたびに、入居してしばらくたった今でも設計者のやさしさを感じるのです。
そういったことを仕込めるのがやさしい設計者=良い設計者であると私は思います。
設計力を引き出す施主
さて、設計がやさしさであることがわかった今、施主の立場としてできることは何でしょうか。
それは彼らの「やさしさ」の芽を摘まないことです。
所詮は人対人の関係。頭にくる施主の生活を想像しながら設計するのは苦行でしかありません。
逆に良い関係が構築できれば、施主の笑顔が見たくて色々考えてあげたくなっちゃいますよね。
アイデアを出してくれたことに感謝すること。
アイデアを却下するときも理解してもらえるように理由を述べること。その背反を聞くこと。
図面で不明点がある際はその設計の心を聞くこと。
気付ず後だし要望になってしまったら設計者の気持ちが萎えないようにケアをすること。
…このようなことに気を付けながら設計者の自主性を引き出します。
きっと施主としてそんなことができたなら、担当の設計者さんは夜な夜なうんうん言いながら良いアイデアを出してくれるに違いありません。
おわりに
さて、今回は設計者の仕事について書かせていただきました。
共にプロジェクトを進めていくにあたり、チームメンバーである設計者側の立場を知ることは非常に重要ですので、今回の内容も施主の皆さんにもきっとお役にたつと思います。
是非ご担当の設計者さんと良い関係を構築し、二人三脚で良い家づくりを行ってください。
今回の記事が少しでも参考になりましたら幸いです。
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